午前(AM)①
放射化学(4問)
問1. 元素記号と元素名の組合せで正しいのはどれか。 1. Cu ——— クロム 2. Ge ——— ガリウム 3. Ce ——— セレン 4. Lu ——— ルテチウム 5. Ta ——— タリウム
正答:4
解説:Cu ー 銅 , Ge ー ゲルマニウム , Ce ー セリウム , Ta ー タンタル
問2. 放射性壊変について正しいのはどれか。 1. α壊変では原子番号が変化しない。 2. β⁺壊変では質量数が1つ減少する。 3. β⁻壊変では原子番号が変化しない。 4. 軌道電子捕獲では質量数が変化しない。 5. 核異性体転移では原子番号が1つ増加する。
正答:4
解説:
α壊変は、娘核種の原子番号は親核種の原子番号よりも2小さくなり、質量数は4小さくなる。
β⁺壊変は、娘核種の原子番号は親核種の原子番号よりも1小さくなり、質量数は不変である。
β⁻壊変は、娘核種の原子番号は親核種の原子番号よりも1大きくなり、質量数は不変である。
核異性体転移は、原子番号、質量数ともに不変で、エネルギー準位が異なる。質量数にmがつく。
問3. 放射性核種の分離で正しいのはどれか。 1. 補集剤は担体の一種である。 2. 同位体担体は化学的に分離できる。 3. 保持担体は共沈させるために加える。 4. スカベンジャは目的核種を沈殿させる。 5. トレーサ量では担体を加える必要はない
(除外問題)選択肢に誤りがあり、正解が得られないため、採点対象から除外する。
問4. 標識化合物の生合成法で正しいのはどれか。 1. 比放射能の制御が容易である。 2. 標識位置の特定が容易である。 3. 無機化合物の合成に用いられる。 4. 微生物の代謝を利用した方法がある。 5. 放射化学的純度の高い化合物が得られる。
正答:4
解説:
生合成法とは、生体の代謝を利用して、化学的に合成困難な 天然有機化合物を RI 標識する方法である。
<長所>
・化学的に合成が難しい物質の合成が可能
・均一に標識が可能
<短所>
・標識位置、比放射能、収率のコントロールが困難
診療画像機器学(10問)
問5. 焦点外X線で正しいのはどれか。2つ選べ。 1. 陽極の全体から発生する。 2. 画像のコントラストを低下させる。 3. 線質は焦点近傍ほど光子のエネルギーが高い。 4. 集束電極で集束されなかった電子のため生じる。 5. 発生する量は回転陽極よりも固定陽極の方が多い。
正答:1,2
解説:焦点外X線はターゲットに一次電子が衝突して生じた二次電子がターゲットに再衝突する事によって発生する。よって集束電極によって電子が集束される事によって発生する。また、焦点から離れた位置で発生するという事はターゲットに引き寄せられる力に反発する電子自体の持つエネルギーが高いという事になる。よって、焦点近傍ほど光子のエネルギーは低く、離れたところで発生するほどエネルギーは高い。固定陽極は、熱許容が小さく小型のもの使われるため焦点外X線の発生量は少ない、回転陽極は熱許容が大きく大出力の装置に使われるため、焦点外X線の発生量が多い。
問6. X線源装置の総ろ過を増加させたときの変化で正しいのはどれか。 1. 半価層は薄くなる。 2. X線量は少なくなる。 3. 線質指標は低くなる。 4. 実効エネルギーは低くなる。 5. 被写体コントラストは高くなる。
正答:2
解説:総ろ過を増加させるという事は、吸収体の厚さが増加したという事。つまり、実効エネルギーが高くなるため半価層は厚くなる。線質指標は実効エネルギーが含まれるため、実効エネルギーが高くなる事から線質指標も高くなる。実効エネルギーが高くなるという事は、X線の全体的なエネルギーが高いので透過するX線の強弱が付きにくいため被写体コントラストは低下する。
問7. LCDで正しいのはどれか。 1. CRTと比べて消費電力大きい。 2. 大画面になると幾何学的歪みが発生する。 3. スクリーンセーバーは画面の反射防止に有用である。 4. 医用画像モニタの表示階調にはGSDFが用いられる。 5. ランダムノイズの主な原因はピクセル間の輝度のばらつきである。
正答:4
解説:基本的にLCDとCRTを比較した場合、LCDの方が優れていると考えれば良いので、消費電力は小さい。また、歪みも発生しにくい。
問8. CR装置で正しいのはどれか。 1. ダイナミックレンジはFPDよりも狭い。 2. 輝尽励起光の波長は400nm程度である。 3. 乳房撮影用の画素サイズは100μm程度である。 4. フェーディング現象は輝尽発光量に影響しない。 5. 両面集光方式は片面集光方式よりも輝尽発光の集光効率が高い。
正答:5
解説:ダイナミックレンジはCRとFPDで同等であり、両者ともダイナミックレンジが広いのが特徴です。輝尽励起光は、赤色光(He-Neレーザー)であり、波長は600nm程度です。一般撮影の画素サイズは100μm程度だが、乳房撮影用ではより細かいものを見るため50μm程度である。
問9. 図に示す受像器から離れた位置にある点Tを受像器X軸中心より左右に各5cm移動させた焦点位置a、bで撮影したところ、画像A、B上の異なる位置に投影された。点Tの受像器面からの距離[cm]に最も近いのはどれか。ただし、受像器は固定、焦点は点焦点、焦点受像器間距離は100cmとする。1. 7.2 2. 9.1 3. 11.8 4. 13.7 5. 16.7
正答:2
問10. マルチスライスCTと比較した歯科用コーンビームCTの特徴で正しいのはどれか。 1. 撮影時間が短い。 2. 撮影領域が広い。 3. 空間分解能が高い。 4. 濃度分解能が高い。 5. 画素濃度値の正確性が高い。
正答:3
解説:
<利点>
①解像度(空間分解能)が高い。
②被曝線量が少ない。
③金属によるアーチファクトが少ない。
④軽量で設置面積が小さい。
⑤導入費用や維持費が比較的安い。
<欠点>
①撮影範囲が狭い。
②軟組織の描出能が低い。
③ CT 値に医科用 CT のような(準)定量性がない。
問11. デュアルエネルギーCTで正しいのはどれか。 1. サイクロトロンによる放射光を利用する。 2. 高速スイッチング方式では、2つのX線管が実装されている。 3. エネルギーが低い仮想単色X線画像ではヨードのCT値が増加する。 4. 通常のX線CTよりビームハードニングアーチファクトが増加する。 5. 物質弁別において2つの基底物質は、実効原子番号が同一となる物質を選択する。
正答:3
解説:デュアルエネルギーCTは2つの異なるエネルギーのX線を使用するCTです。デュアルエネルギーCTで覚えておいてほし事は、
1. 物質弁別(異なるエネルギーのX線によって吸収差が異なるため物質の弁別が出来る)
2. 仮想単色X線画像(2種類のエネルギーの画像から任意のエネルギーの画像を作ることが可能)
3. ビームハードニング補正(ビームハードニングによるアーチファクトの低減が可能です)
問12. MRI装置の超電導磁石で正しいのはどれか。 1. 形状はオープン型である。 2. コイルの線材は銅である。 3. 冷却に液体ヘリウムを用いる。 4. 3Tを超える高磁場は得られない。 5. 電流が流れている間は電力が消費される。
正答:3
解説:超電導磁石の特徴はクローズド型(CTみたいな筒状)で永久磁石はオープン型になります。冷却に液体ヘリウムを用い、3T以上の高磁場装置に用いられます。電流を一度流せば、超電導状態が破綻しない限りは電気が流れ続けるため、超電導状態の静磁場コイルの消費電力は0です。
問13. 医薬品、医療機器等の品質、有効性および安全性の確保等に関する法律で規定されている医療機器の分類と装置の組合せで正しいのはどれか。 1. 設置管理医療機器 ——————————— 移動型X線装置 2. 特定保守管理医療機器 ————————— X線CT装置 3. 一般医療機器(クラスⅠ) ——————— X線撮影装置 4. 管理医療機器(クラスⅡ) ——————— 放射線治療装置 5. 高度管理医療機器(クラスⅢ、Ⅳ) ——— 超音波診断装置
正答:1,2(複数解となった)
解説:正直これは、かなり深い所なのであまり覚える必要はないが、余裕のある人は勉強してみてください。
問14. 超音波画像診断装置のゲインを調整したときに変化するのはどれか。 1. 送信される超音波の振幅 2. 送信される超音波の周波数 3. 送信される超音波のパルスレート 4. 受信機から出力される電気信号の振幅 5. 受信機から出力される電気信号の周波数
正答:4
解説:ゲインとは反射してくる微弱なエコー(反射波)の増幅のことである。反射してきた信号(電圧の変化)を増大させる。つまり、この時点で送信される超音波は変化しない事が分かります。そして、ゲインは電圧を増幅させるので、周波数という波の数ではなく、波自体の大きさ、つまり振幅を増加せるという事になります。
診療画像検査学(10問)
問15. MRCP像(別冊No.1)を別に示す。主膵管はどれか。1. ア 2. イ 3. ウ 4. エ 5. オ
正答:4
解説:ア:総肝管 イ:胆嚢 ウ:総胆管 エ:主膵管 オ:腎盂
問16. 乳腺腫瘤の超音波画像(別冊No.2)を別に示す。正しいのはどれか。2つ選べ。1. C区域に位置する。 2. 皮膚の牽引を認める。 3. 後方エコーの増強を認める。 4. 内部に点状高エコーを認める。 5. セクタ型プローブを使用している。
正答:2,4
解説:エコーのマークから大体、BD区域だという事が見てとれるためC区域ではない。後方エコーに増強は見られず、後方陰影を認める。さらに、セクタプローブは心臓と小児の脳に主に使い、乳房ではリニアプローブを使うと覚えてください。さらに、内部に点状エコーを認めます。
問17. 右側腹部の超音波画像(別冊No.3)を別に示す。矢印で示すアーチファクトはどれか。1. 音響陰影 2. 外側陰影 3. 鏡面反射 4. 多重反射 5. 後方エコーの増強
正答:2
解説:外側に線状の黒い帯のようなものを引いているので、外側陰影だと分かります。音響陰影は、結石など硬いものの後方、鏡面反射は横隔膜付近、多重反射は胆嚢、後方エコーの増強は嚢胞など水成分の後方に見られると覚えておくといいと思います。
問18. 内部のエコーレベルが最も低い病変はどれか。 1. 肝硬変 2. 肝嚢胞 3. 肝血管腫 4. 肝細胞癌 5. 転移性肝癌
正答:2
解説:エコーにおけるエコーレベルと成分について押さえておくと解ける問題です。最も低エコーなものを無エコーといい、水成分のものになります。よって肝嚢胞が答えになります。
問19. 脳のMRAでMTパルスの付加によって生じるのはどれか。2つ選べ。 1. 騒音の増大 2. SARの増大 3. 脂肪信号の抑制 4. 脳実質の信号低下 5. 磁場の時間変化率(dB/dt)の減少
正答:2,4
解説:MTパルスを印加するとたん白質を多く含む脳実質(白質や灰白質)の信号が抑制され、小血管のコントラストが改善される。ただしMTパルスの印加には、非常に大きな出力のRFを必要としSARが上昇する。また、TRが延長するため撮像時間が延長する。結果、脂肪が相対的に高信号に描出される。よって、答えは2,4である。
問20. 脳のMRIで灌流情報が得られるのはどれか。2つ選べ。 1. ASL(arterial spin labeling) 2. DSC(dynamic susceptibility contrast) 3. DTI(diffusion tensor imaging) 4. MRS(magnetic resonance spectroscopy) 5. VBM(voxel-based morphometry)
正答:1,2
解説:MRIにおける脳灌流の代表的な測定法には,dynamicsusceptibility contrast(DSC)と arterial spinlabeling(ASL)の 2 つが挙げられます。
問21. 腹部MR像(別冊No.4)を別に示す。矢印のアーチファクトを軽減するのはどれか。1. TEの延長 2. TRの延長 3. 呼吸同期法の併用 4. CHESSパルスの付加 5. スライス外への空間飽和パルスの付加
正答:5
解説:拍動によるアーチファクトであり、軽減方法としては、撮像断面に流入する動脈血および静脈血の信号を飽和させる、プリサチレーションパルスを用いる方法と拍動アーチファクトは常に位相エンコード方向に生じるため、読み取り周波数方向と位相エンコード方向とを入れ替える方法があります。
問22. 脳のMR像(別冊No.5)を別に示す。中脳水道はどれか。1. ア 2. イ 3. ウ 4. エ 5. オ
正答:3
解説:ア:側脳室 イ:第三脳室 ウ:中脳水道 エ:第四脳室 オ:脳脊髄腔・くも膜下腔(オはいまいち)
問23. 胆嚢の超音波像(別冊No.6)を別に示す。矢印で示すアーチファクトはどれか。1. 音響陰影 2. 音響増強 3. 鏡面効果 4. サイドローブ 5. コメット様エコー
正答:4
解説:これはあまりよく出てくるアーチファクトではないため馴染みが少ないかもしれませんが、サイドローブアーチファクトなので覚えておきましょう。あとは、その他の選択肢のアーチファクトが良く出てくるのでどんな風に見えるのかしっかり覚えておきましょう。それぞれの画像は、教科書やネットで調べたら出てくるので見てみてください。医用画像は勝手に引っ張ってこれないので、申し訳ありません。
問24. MRIのSN比が高くなるのはどれか。 1. TRを短くする。 2. 加算回数を増やす。 3. スライス厚を薄くする。 4. 受信バンド幅を広くする。 5. 位相エンコード数を増やす。
正答:2
解説:MRIでSN比の問題が出てきたら、この式を頭に思い浮かべましょう。
核医学(10問)
問25. ポジトロン放射性薬剤の¹⁸Fで正しいのはどれか。 1. 半減期は20分である。 2. ジェネレータで製造する。 3. 159keVのγ線を放出する。 4. ¹⁸F-FDGはガス状で吸入させる。 5. サイクロトロンで製造する場合は¹⁸Oをターゲットとすることができる。
正答:5
解説:¹⁸Fの半減期は必ず覚えましょう。110分です。PET核種はサイクロトロンを用いて製造します。さらにPET核種は全て511keVのエネルギーを持っています。¹⁸F-FDGは最もよく使われるPET薬剤なので押さえておく必要があります。静脈注射で体内に入れます。¹⁸F(p,n)¹⁸O反応によって生成します。
問26. 放射能測定装置と検出器の組合せで正しいのはどれか。 1. ガンマプローブ ————――――――――― Arガス 2. ホールボディカウンタ ————―――――― プラスチックシンチレータ 3. ウェル型電離箱測定装置 ————――――― NaI(Tl) 4. 液体シンチレーションカウンタ ————―― 半導体素子 5. ウェル型シンチレーションカウンタ ———— 輝尽性蛍光体
正答:2
解説:ガンマプローブは術中に使用され、放射能を測定する機器でありArガスは関係ありません。シンチレーションにはNaI(Tl)が使われますが、電離箱式には使用されません。
問27. 核医学画像の画質改善を目的とした処理はどれか。 1. 統計解析 2. 動態解析 3. カラー表示 4. フュージョン処理 5. バックグラウンド処理
正答:5
解説:画質改善という事で、核医学の画像はそもそも荒い画像であり、バックグラウンドの影響を受けやすいため、バックグラウンドの処理を行うと画質改善に繋がることが分かります。その他の選択肢の処理は、画像の表示法や検査結果の提示に関する方法なので、画質改善には関係ありません。
問28. 診断標的部位への集積に主に受容体との結合が関与しているのはどれか。 1. ⁹⁹mTc-MAA 2. ⁹⁹mTc-MIBI 3. ⁹⁹mTc-HMDP 4. ¹²³I-イオマゼニル 5. ²⁰¹TlCl
正答:4
解説:¹²³I-イオマゼニルはてんかんの診断に使用される薬剤で、ベンゾジアゼピン受容体に結合して集積する特徴を持ちます。受容体関連では、オクトレオスキャンがソマトスタチン受容体に関連しています。
問29. 放射性医薬品投与3時間後のシンチグラム(別冊No.7)を別に示す。投与部位はどれか。1. 経口 2. 静脈内 3. 動脈内 4. 膀胱内 5. 脳脊髄腔内
正答:5
解説:脳脊髄腔(脳槽)シンチグラフィの画像であり、¹¹¹In-DTPAを腰椎穿刺にてくも膜下腔に投与します。
問30. 肺血流シンチグラフィで正しいのはどれか。 1. ⁹⁹mTc-ECDを用いる。 2. 前面像のみの撮影で十分である。 3. 肺癌の悪性度評価に用いられる。 4. 検査前6時間程度の絶食が必要である。 5. 右左シャントが疑われる場合は全身像を撮影する。
正答:5
解説:肺血流シンチでは、右左シャントが疑われる場合薬剤が肺から肺以外の場所に流れるため、全身像の撮像が必要になります。よく、左右シャントで迷わせる問題もあるので、右左シャントでしっかり覚えておきましょう。薬剤はECDではなくMAAを用い、前面像だけではなく前後・左右・斜位などあらゆる方向から撮影するのが一般的です。集積機序が微小塞栓であることや、肺塞栓症の診断に有効である事などはしっかり押さえておきましょう。
問31. 放射性医薬品投与時に起こる副作用で最も頻度の高いのはどれか。 1. 下痢 2. 筋肉痛 3. じん麻疹 4. 急性放射線障害 5. 血管迷走神経反射
正答:5
解説:核医学検査では、副作用が少ないというのが特徴ですが、唯一見られる副作用として血管迷走神経反射があるという事を押さえておきましょう。
問32. 非密封放射性核種内用療法で使用される核種はどれか。 1. ⁶⁷Ga 2. ⁹⁹mTc 3. ¹²³I 4. ¹²⁵I 5. ²²³Ra
正答:5
解説:甲状腺癌¹³¹I治療、B細胞性リンパ腫に対する⁹⁰Y放射免疫療法、有痛性骨転移に対する⁸⁹Sr疼痛緩和療法の3種類が従来からの内用療法であり、近年²²³Raによる去勢抵抗性前立腺癌骨転移治療が承認されました。また、悪性神経内分泌腫瘍に対する¹⁷⁷Luを用いた治療も始まりつつあり、近年の国家試験で²²³Raが出だしたため、今後¹⁷⁷Luや治療と診断が組み合わされたセラノスティクスについては問われる可能性があります。
問33. ガンマカメラのシンチレータについて正しいのはどれか。 1. CsI(Tl)が主流である。 2. 厚さは7.5cm程度である。 3. 厚さが薄いほど感度が高い。 4. 黄変すると感度均一性が低下する。 5. 光電吸収検出効率は入射光子のエネルギーに依存しない。
正答:4
解説:CsI(Tl)ではなく、NaI(Tl)が主流です。シンチレータの厚さについては、問われたことがありません。シンチレータの厚さは厚いほど感度が良くなります。また、光電吸収検出効率は入射光子のエネルギーの上昇と共に低下します。
問34. 心筋脂肪酸代謝SPECT検査の撮影法について正しいのはどれか。 1. 近接軌道収集を利用する。 2. マトリクスを512×512に設定する。 3. ファンビームコリメータで撮影する。 4. エネルギーウィンドウを141keVに設定する。 5. 心電図同期収集では1心拍を32分割して撮影する。
正答:1
解説:基本的に心臓では近づけるために近接軌道収集を使用します。また、SPECTの場合は、1ピクセルに対するカウントが少なくなるためピクセルサイズを大きくする必要があるため、64×64や128×128が用いられます。コリメータはSPECTでは高感度型が使われます。心筋脂肪酸代謝では¹²³I-MIBGを使用するためエネルギーは159keVです。心電図同期収集のSPECTでは、8~16分割、プラナー撮像では20~40分割が一般的です。
放射線治療(10問)
問35. 根治的放射線治療において寡分割照射が実施されるのはどれか。 1. 膀胱癌 2. 卵巣癌 3. 下咽頭癌 4. 前立腺癌 5. 胃MALTリンパ腫
正答:4
解説:寡分割照射とは,通常分割照射と比較して1回線量を増やし照射回数を少なくした照射である(寡は少ないという意味)。寡分割照射の代表が前立腺癌なので、まずはここを押さえておきましょう。2018年から「1回線量が2.5Gy以上の前立腺照射を行った場合」に診療報酬で1回線量増加加算が算定できるようになり前立腺がんへの寡分割照射は一般的になりつつあります。
問36. 上咽頭癌に強度変調放射線治療<IMRT>を行ったとき、従来の三次元照射と比較して軽減される有害事象はどれか。 1. 咽頭炎 2. 皮膚炎 3. 顔面浮腫 4. 味覚障害 5. 唾液腺障害
正答:5
解説: 脳や眼球、視神経への線量を減弱することができ、重篤な副作用の発生リスクが下げられるという報告もあります。その中で、唾液腺障害もあります。
問37. 緊急照射の適応となるのはどれか。 1. 大腿骨転移による骨折 2. 多発肝転移による黄疸 3. 転移性脳腫瘍による悪心 4. 転移腹膜播種による腸閉塞 5. 転移性脊椎腫瘍による下肢筋力低下
正答:5
解説:緊急照射の代表例は上大静脈症候群、脊髄圧迫、オリゴメタスタシス、気道閉塞などがあります。これら基本を押さえたう上でその他、過去問に出てきたものを覚えましょう。
問38. 脳転移の全脳照射について正しいのはどれか。 1. 麻痺があると適応にならない。 2. 髄膜播種があっても適応になる。 3. 3か所以上の転移には無効である。 4. 1回目の照射直後から脱毛が始まる。 5. 6週間で60Gyの処方が標準である。
正答:2
解説:これはかなり踏み込んだ問題、しかし最近こういう傾向が増えている気がします。麻痺があっても適応で2個~でも有効です。大体2~3週間で30Gyが処方されます。副作用として脱毛も起こりますが約2週間後くらいから見られます。
問39. ¹²⁵Iシード線源による永久挿入治療で使用されないのはどれか。 1. 模擬線源 2. 超音波装置 3. アプリケータ 4. 治療計画装置 5. ステッパー装置
正答:1
解説:¹²⁵Iシード線源による永久挿入では、直接前立腺に超音波越しに線源を刺していくので模擬線源は用いません。模擬線源はRALSに用いられます。線源を挿入する際に使用する器具がアプリケータであり、RALSではタンデム、オボイドなどがこれにあたります。治療台にステッパーという超音波装置などを固定する器具も使用します。
問40. リニアックについて正しいのはどれか。2つ選べ。 1. 加速管は鉛製である。 2. 出力エネルギーを連続的に変えられる。 3. 加速管内には一定量の窒素が必要である。 4. マイクロ波発振管にはクライストロンが用いられる。 5. 同一加速エネルギーの加速管は進行波型が定在波型より長い。
(除外問題)選択肢に誤りがあり、正解が得られないため、採点対象から除外する。
問41. リニアックの始業前の点検項目はどれか。 1. X線深部線量 2. 電子線出力不変性 3. X線出力係数の不変性 4. X線出力架台角度依存性 5. 物理ウェッジ係数の不変性
正答:2
解説:照射線量、線量率、線量分布平坦度、エネルギー、治療計画データと実測データの比較など出力不変性についての項目が必要です。詳しくはガイドラインを見てみてください。
問42. 体幹部定位放射線治療で用いる装置・機器で誤っているのはどれか。 1. リニアック 2. 画像誘導装置 3. 呼吸同期システム 4. セシウム線源を使用した治療装置 5. ロボットアームを使用した治療装置
正答:4
解説:セシウム線源を使用した装置は、遠隔照射式治療システムの放射線源として使用される器具で現在はもうあまり使用されていません。通常の放射線治療に使われていた装置です。
問43. ウェッジフィルタを使用した対向2門照射で標的に2Gyを照射した場合のMU値に最も近いのはどれか。ただし、ビームウエイトは均等とし、組織最大線量比0.84、出力係数1.05、くさび係数0.75、モニタ校正値1.00cGy/MUとする。 1. 85 2. 150 3. 155 4. 165 5. 300
正答:2
解説:MU=処方線量/(モニタ校正値×TMR×OPF×WF)より
MU=100cGy/(1.00×0.84×1.05×0.75)=約150
問44. 粒子線治療において拡大ブラッグピーク法のピーク幅を決めるパラメータはどれか。 1. 処方線量 2. アイソセンタの深さ 3. CTVの側方向の長さ 4. PTVの深部方向の長さ 5. ビームの入射エネルギー
正答:4
解説:PTVは治療計画上マージンを含めた照射したい範囲なので、照射範囲には均等に線量を与える必要があります。よってPTVの深さ方向の長さの分だけブラッグピークの幅を持つ必要があります。
医用画像情報学(5問)
問45. エッジ検出フィルタとして正しいのはどれか。2つ選べ。 1. ガウシアンフィルタ 2. ソーベルフィルタ 3. バタワースフィルタ 4. メディアンフィルタ 5. ラプラシアンフィルタ
正答:2,5
解説:
ガウシアンフィルタ:平滑化フィルタ
ソーベルフィルタ:エッジ抽出フィルタ
バターワースフィルタ:平滑化フィルタ
メディアンフィルタ:ノイズ除去
問46. 医用画像モニタの精度管理で、目視試験項目はどれか。 1. アーチファクト 2. 輝度比 3. コントラスト応答 4. 最大輝度 5. 色度
正答:1
解説:
問47. コンピュータの基本構成を図に示す。a~cに入る装置の組合せで正しいのはどれか。a b c 1. 演算装置 記憶装置 制御装置 2. 記憶装置 演算装置 制御装置 3. 記憶装置 制御装置 演算装置 4. 制御装置 演算装置 記憶装置 5. 制御装置 記憶装置 演算装置
正答:4
解説:これはもう流れを覚えるしかないので、覚えてください。
問48. 画素値のヒストグラムから直接求められない特徴量はどれか。 1. 分散 2. 歪度 3. 期待値 4. 鮮鋭度 5. 中央値
正答:4
解説:鮮鋭度は画像のボケを表しているので画素値のヒストグラムからは求めることは出来ません。分散や中央値は求められることは分かると思います。期待値、歪度も算出出来ます。ここら辺は、基礎統計なので特別放射線に関係なく知っておいた方がいいと思います。
問49. ICD(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)で正しいのはどれか。 1. 死因分類は含まれない。 2. 国際比較をするための統計分類である。 3. FDA(米国食品医薬品局)が作成した分類である。 4. 厚生労働省が発行する人口動態統計には用いられない。 5. 疾患が同じであれば部位が異なっていてもICDコードは同じである。
正答:2
解説:ICDは、異なる国や地域から、異なる時点で集計された死亡や疾病のデータの体系的な記録、分析、解釈及び比較を行うため、世界保健機関憲章に基づき、世界保健機関(WHO)が作成した分類である。厚生労働省の統計調査に用いられます。疾患や部位ごとに異なります。
≫参考資料
▼ 第74回診療放射線技師国家試験解説をまとめた記事はこちら