Written by Ryusei

放射線治療機器【リニアックの構成】

診療放射線技師国家試験

今回は、放射線治療機器に関する項目について解説、まとめをしていきたいと思います。
まとめと、国家試験問題の解説と交えて放射線治療機器についてマスターしていきましょう。
国家試験でも放射線治療の中で機器に関する問題は重要でいくつか出題されますので、今回でしっかりと押さえていきましょう。

スポンサードサーチ

リニアックの構造

リニアックの構成は上図の通りです。
上図の構成を押さえておけば国家試験でも、定期試験でも十分だと思います。

  • 電子銃、加速管
  • マグネトロン、クライストロン
  • 導波管
  • パルス変調器
  • 偏向電磁石
  • ターゲット
  • フラットニングフィルタ
  • スキャッタリングフォイル(散乱箔)
  • モニタ線量計
  • Jaw
  • MLC(マルチリーフコリメータ)

 

電子銃

二極管型三極管型がある。
※三極管型では、カソードとアノードの間に10~70kVの電圧をパルス的に印加して熱電子を加速

加速管

材質:無酸素銅(エネルギー損失が低いかつ電気伝導度が高い)
加速管内はイオンポンプによって超真空状態に保たれている。
進行波型加速管
定在波型加速管がある。

進行波型加速管の特徴
→加速管が長い、電子銃近傍にマイクロ波入力部があり、マイクロ波出力部が存在する、電子の加速に使用されずに残ったマイクロ波電力は、無反射終端で吸収される

定在波型加速管の特徴
→加速管が短い、単位長さあたりの加速効率が高い、現在は多くのリニアックに定在波型が使われている

マグネトロン、クライストロン(マイクロ波の発生方式)

マグネトロン
小型安価であるが寿命が短い自励発振管であるため単体でマイクロ波を発生させることができる。

クライストロン
大型安価であるが、周波数の安定性が良く、寿命も長い他励発振管であるため、別途マイクロ波の供給が必要である。作られたマイクロ波を増幅するため、増幅管ともいう。

導波管

クライストロンなどからの波を加速管までもっていく役割

パルス変調器

サイラトロンが使用される。
最初に起動する部分
で、電子の発生と波の発生のタイミングを合わせる部分

偏向電磁石

90°ベンディングと270°ベンディングがある。

90°ベンディング
→エネルギーが低い電子は大きく曲げられ、エネルギーの高い電子はあまり曲がらないため、電子ビームはターゲットの中心に集束することが出来ず、X線強度分布に偏りが生じる。

270°ベンディング
→270°回転させることで最終的にターゲットの中心に集束されるため、均一なX線強度分布が得られる

ターゲット

透過型の金属ターゲットである。
材質:4~6MVでは、高原子番号(タングステン、金、白金)が使用される、10MV以上では銅が使用される。

フラットニングフィルタ

材質:鉛、ニッケル銅が使用される。
透過型ターゲットにより変換されたX線は、中心が最大強度となる線量分布であるため、フラットニングフィルタにより照射野内の線量分布を平坦化させる。
X線にのみ用いる。

スキャッタリングフォイル(散乱箔)

材質:アルミニウム、ニッケル、鉛、銅などが使用される。
電子線治療において、非常に細い単色性の電子ビームを散乱させるために利用する。
電子線にのみ用いる。

モニタ線量計

プリセットした治療予定線量まで達しているかを感知(計測)するための線量計。
MU値、線量率、左右前後の放射線強度(フラットネス)の計測も兼ねている。
故障した場合の対策として、同様のモニタ線量計が複数装備されている。

Jaw

X JawとY Jawがあり照射野サイズを整形するために用いられる。可動式である。

MLC(マルチリーフコリメータ)

材質:タングステン
照射野形状を標的の複雑な形状に合わせて整形するために用いられる。

国家試験問題

Q1.リニアックの電子線照射で関係ないのはどれか。

1. 電子銃
2. ターゲット
3. 平坦化フィルタ
4. 散乱箔
5. モニタ線量計
Q2.直線加速器の電子線照射に関係があるのはどれか。

1. 散乱箔
2. ターゲット
3. くさびフィルタ
4. 平坦化フィルタ
5. 腔内照コーン
Q3.治療用リニアックと関係ないのはどれか。

1. コリメータ
2. モニタ線量計
3. 回転ガントリ
4. レンジシフタ
5. リッジフィルタ
Q4.リニアックのパルス変調回路で必要なのはどれか。

1. アイソレータ
2. サイラトロン
3. マグネトロン
4. サーキュレータ
5. クライストロン
Q5.リニアックで正しいのはどれか。

1. 加速管は遮蔽能力の高い鉛製である。
2. 出力エネルギーを連続的に変えられる。
3. 加速管内には一定量の窒素が必要である。
4. マイクロ波発振管にはサイラトロンが用いられる。
5. 同一加速エネルギーであれば、加速管の長さは進行波型より定在波型が長い。

 

解答

Q1. 2,3
Q2. 1,5
Q3. 4,5
Q4. 2
Q5. 4

いくつ解けましたか?これらが解けていれば中身を理解できていると思います。
以上、リニアックの構成についてまとめてみました。